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ナルコレプシー
なるこれぷしー

最終編集日:2026/4/20

概要

ナルコレプシーは睡眠障害のなかの「過眠症」に分類される病気です。睡眠を十分にとっているにもかかわらず、昼間、病的な眠気に襲われ、眠ってしまいます。

ナルコレプシーには、情動脱力発作(カタプレキシー)を伴う「ナルコレプシー1型」と、カタプレキシーを伴わない「ナルコレプシー2型」があります。

シーンを選ばず眠ってしまうために事故につながる危険性があり、さらに社会生活に支障をきたすなど、QOL(生活の質)が低下してしまいます。日本人の有病率は0.16%で、多くは10代で発症します。男女差はありませんが、受診するのは男性のほうが多い傾向があります。

原因

視床下部には、オレキシン神経という覚醒を保つ神経があります。オレキシン神経は、オレキシンという物質をつくり出す神経細胞で、目覚めた状態の維持や、食欲やエネルギーの調整などの働きをもっています。ナルコレプシー1型では、このオレキシン神経細胞が大きく減ってしまい、覚醒状態を維持できなくなって、突然の強い眠気や過眠などの症状が現れます。オレキシン神経細胞が減少する原因は、まだ明らかになっていません。なお、ナルコレプシー2型では、オレキシンの減少が軽度か正常であることが多く、1型とは異なるしくみで発症すると考えられています。

インフルエンザなどの感染症や頭部外傷、遺伝的要因などが関与すると考えられています。

症状

意志の力ではどうにもならないほどの眠気や、突然眠り込む睡眠発作が3カ月以上続きます。1回の居眠りは5~15分と短いのですが、1時間から数時間の間に繰り返します。また発作は突然起こるため、眠り込んだことに気づかない場合もあります。

そのほか、驚いたときや怒ったとき、笑ったときに筋肉の力が抜けてしまう「情動脱力発作(カタプレキシー)」、入眠時にリアルな幻覚を見る「入眠時幻覚」、入眠時にからだが動かなくなる「睡眠麻痺」(金縛りのような状態)などもナルコレプシーに特徴的な症状です。カタプレキシーが起こると立っていられずに崩れ落ちる、倒れてしまう、ろれつが回らなくなるなどが現れますが、1~2分程度で治まります。

また、夜間の睡眠の質も低下して、中途覚醒などもみられます。

検査・診断

問診ののち、確定診断とほかの睡眠障害との鑑別診断のために、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)と反復睡眠潜時検査(MSLT)が行われます。PSGは一晩にわたって、脳波、眼球運動、心電図、呼吸、いびきの様子などを測定する検査です。MSLTでは、2時間ごとに5回、入眠する際の脳波の状態を検査します。眠気をがまんして覚醒を維持できるかをみる覚醒維持検査や、眠気の強さを評価する目的で、エップワース眠気尺度(JESS)を用いることもあります。

また、情動脱力発作があるなど、ナルコレプシー1型が強く疑われる場合には、脳脊髄液中のオレキシンの量を調べる検査が行われることがあります。

治療

治療は生活改善と薬物療法が行われます。

●生活改善

睡眠日誌をつけて自分の睡眠・覚醒状態を把握する、規則正しい生活を送る、十分な夜間の睡眠をとる、午前中に短時間(10~30分)の昼寝を取り入れることで午後の眠気の軽減を図る、適度にカフェインをとる、などを実践します。

●薬物療法

中枢神経を刺激する薬を用いて、昼間の眠気を抑えます。夜間の中途覚醒が強い場合は、睡眠薬を服用します。


ナルコレプシーの根治治療は現段階では見つかっていません。生活改善と薬物療法を組み合わせて昼間の眠気をコントロールすることが目標になります。医師の指示に従って根気よく治療をつづければ、学業や就業などの社会的生活への支障も減らすことができ、生活の質も維持できるケースがほとんどです。

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監修

和クリニック

前田佳宏