睡眠障害すいみんしょうがい
最終編集日:2026/4/20
概要
睡眠に関して何らかのトラブルがある状態のことを総称して「睡眠障害」といいます。
よく耳にする不眠症をはじめ、症状や原因によって、日中に眠くなる過眠症、体内時計の乱れが関係する概日リズム睡眠覚醒障害、睡眠中の呼吸が異常をきたす睡眠呼吸障害のほか、身体疾患や精神疾患に合併した不眠など、症状はさまざまで、睡眠中の異常行動を中心とした睡眠時随伴症(夜驚症、睡眠時遊行症など)も含まれます。
日本人の約2割が、睡眠に関して問題を抱えているといわれています。
原因
睡眠障害は、症状や人によって原因もさまざまです。慢性的なストレスや疲労、薬の副作用、アルコールやカフェイン、たばこなど嗜好品の摂取、騒音やまぶしい光、かゆみや痛みを伴う疾患、うつ病などの精神疾患といった多くの要因が挙げられます。
昼夜逆転の生活で日光を浴びない状態が続くと体内時計が乱れやすくなり、体内時計を調整する役割をもつメラトニン(睡眠ホルモン)という物質の分泌に影響を与えるとされています。
過眠の原因としては、睡眠の質の低下による睡眠不足のほか、脳の機能的障害が影響するナルコレプシーという病気があります。ナルコレプシーは、覚醒を維持する物質(オレキシン)の低下が関係しています。
また、睡眠時無呼吸症候群により睡眠が分断され、過眠症が起こる場合もあります。
症状
原因と同じく、人によってさまざまな症状が現れます。
●不眠症
不眠症は大きく分けて、入眠困難(なかなか入眠できず寝つきが悪い)、中途覚醒(途中で起きてしまう、そのあとまた寝つけない)、早期覚醒(熟睡できず、早く目覚めてしまう)のタイプに分かれます。十分な睡眠時間がとれないことで、集中力が低下したり生活に支障をきたしたりします。それらの症状が少なくとも週3回、3カ月以上続く場合は慢性不眠障害、3カ月未満であれば短期睡眠障害とされます。
●過眠症
過眠症は、日中に過度の眠気に襲われ、気づくと寝てしまっているような状態です。過眠症のひとつであるナルコレプシーは、急に眠ってしまう睡眠発作、笑ったりびっくりしたりしたときに、突然からだの力が抜ける情動脱力発作、入眠する際の睡眠時麻痺(金縛り)や入眠時幻覚などがみられることがあります。
●概日リズム睡眠覚醒障害
以下のようなパターンによる症状があります。
・交代勤務障害:勤務時間帯(夜勤・日勤)が変化することで体内時計にずれが生じる
・睡眠・覚醒相後退障害:深夜から明け方にならないと寝つけず、昼頃まで起きられない
・睡眠・覚醒相前進障害:早い時間に眠くなり早朝に目が覚める
・非24時間睡眠・覚醒リズム障害(自由継続型):体内時計がリセットされず、寝つく時間と目覚める時間が毎日30分から2時間ずつ遅れていく
・不規則睡眠・覚醒リズム障害:睡眠と覚醒のリズムがみられなくなってしまう
いずれも、適切な時間に入眠・起床することができずに社会生活に支障をきたします。
●睡眠呼吸障害
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に上気道が狭くなることで低呼吸もしくは無呼吸になる状態と、大きないびきを繰り返します。低呼吸や無呼吸になると体内の酸素濃度が低下してからだに負担がかかるため、熟睡感が得られなくなります。
●身体疾患や精神疾患に合併した不眠
「慢性の痛みを伴う疾患やかゆみを伴う疾患といった身体疾患があるとき」「うつ病などの精神疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病などの神経疾患や脳血管疾患を伴うとき」また「何らかのストレスを抱えているとき」に、寝つけない、すぐ目が覚めるなどの症状がみられる場合があります。
●そのほか
座ったり横になったり安静にしていると、足がムズムズするような感覚になる「むずむず足症候群(レストレスレッグス症候群)」が現れることがあります。夕方から夜間に生じることが多く、不眠の原因にもなりやすいとされています。
検査・診断
人によって症状・原因は多岐にわたるため、身体疾患や精神疾患、生活習慣、服用している薬の有無など詳細な問診が行われます。必要に応じて睡眠を測定する睡眠ポリグラフ検査や反復睡眠潜時検査、ナルコレプシーが疑われる場合には脳脊髄液検査などが行われます。
治療
原因を特定し、生活習慣や睡眠環境を整えることが重要です。重症度によって治療は異なりますが、睡眠障害を引き起こす原因となる疾患がある場合は、疾患の治療を行います。
睡眠障害のタイプによっては、認知行動療法や睡眠薬などの投薬治療が行われます。
投薬は、入眠障害には短時間型、中途覚醒や早期覚醒には中・長時間型、そして、うつ症状が絡んでいる場合は抗うつ薬を併用するなど睡眠障害のタイプによって使い分けます。とくに重症の睡眠時無呼吸症候群では、機器(CPAP)を導入し治療を行います。
セルフケア
予防
睡眠障害を放置すると、生活習慣病やうつ病などを発症するリスクが高くなるといわれています。
起床・就寝時刻を一定にする、朝日や日光を浴びる、バランスのいい食事を心がけ適度に運動をする、ぬるめの風呂に入りからだを温める、就寝前のカフェイン、喫煙、アルコールは控える、就寝の1~2時間前にはテレビやスマートフォンの強い光を避け、照明も暗くする、など日々の生活リズムや環境を整えましょう。
監修
和クリニック
前田佳宏