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気管支喘息
きかんしぜんそく

最終編集日:2026/3/13

概要

気管支喘息は、空気の通り道である「気道」が、慢性的な炎症によって「わずかな刺激にも反応する状態」になってしまう病気です。健康な人なら何でもないようなわずかな刺激(ホコリ、ダニ、ペットの毛、冷気など)にも過敏に反応し、気道が狭くなることで「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音(喘鳴〈ぜんめい〉:狭くなった筒を空気が通るときに起こす空気の乱流による音)や、激しいせき、息苦しさが繰り返し起こります。

幼児期と40~60歳代に発症する人が多く、患者さんは幅広い年齢層にみられます。

近年では咳喘息(せきぜんそく)と呼ばれる、せきのみの症状が強い喘息様の病気も増加しています。

原因

喘息は、「生まれつきの体質(アレルギー素因)」に、「環境の変化」が加わることで発症すると考えられています。

おもな原因物質(アレルゲン)には、ハウスダスト、ダニ、カビ、ペットの毛、花粉などがあります。

また、発作を誘発する「引き金」として、アレルゲン以外にも以下のような刺激が発作を招きます。

・環境:たばこの煙、排気ガス、線香の煙、激しい寒暖差、気圧の変化

・体調:かぜに代表されるウイルス感染症、過労、ストレス

・そのほか:運動、特定の薬(解熱鎮痛剤など)


●自律神経との関係について

ストレスや疲れで自律神経が乱れると、気管を広げたり狭めたりするコントロールがうまくいかなくなり、発作が起きやすくなります。就眠後に喘息症状が起こりやすいのは、寝ると交感神経系の働きが低下して(就寝時には副交感神経系が優位になる)、起きているときよりも気道が狭くなるためです。

症状

・せき:夜間から明け方にかけて出やすいのが特徴です。喘息発作では昼も夜もせきが出ます。

・痰:喘息が安定しているとき、喀痰が出ることはほとんどありません。気道感染後の喘息発作では喀痰が出ます。

・喘鳴:呼吸に合わせて「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と音がします。

・呼吸困難: 喘息が安定しているときは息苦しさはみられません。そのため、安定時でも息苦しい場合は、気道炎症が改善しない場合であり、治療の強化が必要になります。喘息状態が悪化した場合には、胸が苦しくなり、座らないと息ができない(起座呼吸)こともあります。

・チアノーゼ:非常に重い喘息発作では、酸素不足のため唇や爪が青白くなります。これは命にかかわる危険なサインです。

(左)正常な気道と(右)気管支ぜんそくの気道
(左)正常な気道と(右)気管支ぜんそくの気道

検査・診断

「いつ、どんな時に、どのように苦しくなるか。せきが止まらなくなるのか」という自分の病状を把握しておき、医師に伝えることが重要です。また、医療機関では病状把握のため以下の検査を組み合わせて診断します。

・肺機能検査:肺活量や、息を吐くときにスムーズに吐けるかを測定します。

・呼気NO検査:吐く息に含まれる一酸化窒素を測り、気道炎症の程度を調べます。

・血液検査:好酸球が増加しているか、IgE RAST(特異的IgE抗体検査)によりアレルゲンを調べます。

・胸部X線検査:呼吸器のほかの病気、心臓の病気があるかどうか確認します。

治療

喘息の治療は「発作が起きたときだけ」ではなく、毎日の治療を続けて気道の炎症を抑えることが重要です。

●長期管理薬(コントローラー)

症状がないときも毎日使い、気道の炎症を鎮めて発作を予防します。

・吸入ステロイド薬

治療の第一選択です。喘息発作が頻繁に起こるときは、細い気管支に直接届くミスト製剤の吸入が検討されます。吸入薬は経口薬の100分の1以下の投与量になっており、全身への副作用が少ないのが特徴です。

・分子標的薬

重症の患者さん向けに、炎症の原因をピンポイントで抑える注射薬もあります。

●発作治療薬(リリーバー)

発作が起きてしまったときに、狭くなった気道を急ぎ広げるための薬で、即効性のある吸入薬を苦しいときに使用します。

※注意として、近年のガイドラインでは、発作時のみの吸入(短時間作用型β2刺激薬であるSABA単独)に頼りすぎると、かえって重症化を招く恐れがあることが指摘されています。必ず「予防の薬(吸入ステロイド)」とセットで正しく使います。

セルフケア

療養中

薬による治療と並行して、生活環境を整えることが発作を起こさないための近道です。

・環境整備:こまめな掃除や布団干しで、ダニやホコリを減らしましょう。花粉症がある場合は適切な抗アレルギー薬を服用しましょう。

・禁煙:たばこの煙は喘息にとって強い刺激となります。禁煙には周囲の協力も欠かせません。

・体調管理: かぜをひかないように手洗い・うがいを徹底し、十分な睡眠をとりましょう。

・肥満の解消:肥満は喘息を悪化させ、薬を効きにくくすることがわかっています。日頃から食べ過ぎには注意しましょう。

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監修

千葉大学病院 呼吸器内科 特任教授特任教授

巽浩一郎