リンパ性白血病りんぱせいはっけつびょう
最終編集日:2026/1/5
概要
白血病は血液のがんです。白血病には、病気の進行が速い急性白血病と、比較的ゆっくり進行する慢性白血病があり、それぞれに骨髄性とリンパ性のタイプがあります。これらは名前は似ていますが、原因や治療法は大きく異なります。
急性リンパ性白血病(ALL)は、リンパ球の未熟な段階の細胞が異常に増える病気で、小児では白血病の中で最も多くみられます。一方、慢性リンパ性白血病(CLL)は、より成熟したリンパ球が増える病気で、おもに中高年に発症し、男性にやや多い傾向があります。
原因
多くの場合、はっきりした原因は分かっていません。
ただし、急性リンパ性白血病の一部では、先天的な染色体異常や、放射線への大量被ばくなどが関係していることがあります。
慢性リンパ性白血病は、日本では比較的まれですが、欧米では多くみられます。人種差があることから、遺伝的な要因が関与していると考えられています。
症状
リンパ性白血病では、異常なリンパ球が骨髄の中で増えることにより、正常な血液細胞が十分につくられなくなります。そのため、体を細菌やウイルスから守る役割を担う白血球の働きが低下し、感染症にかかりやすくなったり、発熱を認めたりすることがあります。また、赤血球が減少すると貧血をきたし、動悸や息切れ、疲れやすさといった症状が現れます。さらに、血小板の数が減ることで、あざができやすくなったり、鼻血や歯ぐきからの出血が止まりにくくなったりすることもあります。
急性リンパ性白血病では、これらの症状が比較的短期間のうちに進行することが多いのに対し、慢性リンパ性白血病では進行が緩やかで、自覚症状がほとんどみられない場合も少なくありません。そのため、健康診断などで白血球数の増加を指摘され、偶然に見つかることもあります。
検査・診断
血液検査で白血球の数や種類、赤血球や血小板の数を調べます。白血病が疑われる場合には、骨髄検査を行い、異常なリンパ球が増えていないかを確認します。
近年では、白血病細胞の詳しい性質(遺伝子や染色体の異常)、病気の進行や治療効果を予測するリスク因子なども調べ、治療方針をより適切に決定することが可能になっています。
治療
治療の目的は、全身に増えた白血病細胞を抑え込み、正常な血液が再びつくられる状態を回復させることです。急性リンパ性白血病は病気の進行が非常に速いため、速やかに専門病院で治療を開始する必要があります。主体となるのは複数の抗がん剤を組み合わせる化学療法ですが、現在はがん細胞の特定の目印を狙い撃つ「分子標的薬」や、自身の免疫を利用してがんを攻撃する「抗体療法」を併用することで、より高い治療効果が得られるようになっています。また、再発した場合や難治性の場合には、自身のリンパ球を遺伝子改変して攻撃力を高める「CAR-T(カーティー)細胞療法」という最新治療も普及しています。比較的若年で、化学療法だけでは根治が難しいと考えられる場合には、健康な方の造血幹細胞を移植する治療も検討されます。
一方、慢性リンパ性白血病の場合は、貧血や出血の症状がなく安定していれば、すぐには治療を行わず慎重に「経過観察」を行うのが一般的です。治療が必要になった際も、現在は飲み薬を中心とした分子標的薬が治療の柱となっています。これにより、従来の抗がん剤よりも体への負担を抑え、日常生活を維持しながら長期間にわたり病気をコントロールすることが可能になっています。
セルフケア
療養中
治療中は、薬の副作用(吐き気、脱毛、口内炎など)が出現しますが、症状を和らげる「支持療法」も進歩してきています。つらさを我慢せず、医師や看護師に相談しましょう。
また、免疫力が低下するため、手洗い、うがい、マスク着用などの感染対策を徹底し、口腔内を清潔に保つことが非常に重要です。
監修
東海大学 医学部血液腫瘍内科 教授
川田浩志