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高血圧性心疾患
こうけつあつせいしんしっかん

最終編集日:2026/4/17

概要

心臓の4つの部屋のひとつである左心室は、全身に血液を送り出す役割を担っています。高血圧性心疾患とは、長期間の高血圧により心臓に生じる構造的・機能的変化の総称です。左室肥大の段階では、心電図検査や心臓超音波検査(心エコー)でわかるのみで症状はありませんが、放置すると心臓が拡張しにくくなり、さらに進行すると心不全につながることがあります。

高血圧はさまざまな臓器に負荷をかけ、臓器障害を引き起こしますが、その代表的な臓器が心臓、血管、腎臓です。

高血圧は全身の血管に動脈硬化を引き起こし、狭心症心筋梗塞、さらに脳梗塞なども合併しやすくします。また、腎臓にも負荷がかかるため腎機能が悪化して腎不全となり、最終的には透析に至りやすい病態となります。

そのため、高血圧性心疾患がある場合は、動脈硬化や腎障害にも注意が必要です。

原因

高血圧性心疾患の前提となる高血圧は、塩分のとりすぎ、加齢、肥満、ストレスなど、多くの要因が関係していると考えられています。高血圧状態を放置することや、治療の中断、処方された薬を飲まないことによって、心臓の病気へと進行してしまうことがあります。

ただし、高血圧性心疾患とは高い血圧が数年、あるいは10年以上という長い期間続くことで心肥大が進行する病態です。そのため、血圧が一時的に高くなっただけで高血圧性心疾患になるわけではありません。


症状

無症状の状態が長く続きます。さらに心肥大が進行すると心臓が硬くなり、拡張能障害といわれる硬い心臓になることで心不全を起こします。この段階になると、息切れや足のむくみといった症状が現れます。また、左心房に負荷がかかることで、心房細動といった不整脈を起こしやすくなります。

検査・診断

高血圧がある人に起こる病気であるため、毎年の健康診断で血圧に注意することが重要です。高血圧を指摘された場合は、まずX線検査(レントゲン)や心電図で心肥大がないかを確認します。さらに精密検査として循環器内科を受診し、心エコーや採血によるBNP測定を行うことで、心臓の状態がより詳細にわかります。

治療

高血圧性心疾患の治療は、まず高血圧のコントロールがもっとも重要です。薬による治療は降圧が中心で、ARB・ACE阻害薬・利尿薬・カルシウム拮抗薬・MRA(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)が用いられます。心不全を伴う場合はその治療(利尿薬等)を併用します。現在のガイドラインでは血圧をできるだけ下げることがよいとされ、理想の血圧は収縮期血圧が120mmHg台、拡張期血圧は70mmHg台といわれています。


セルフケア

予防

高血圧性心疾患の予防は、早期発見と血圧のコントロールが大切であり、適切な血圧値を維持することが最善の予防法です。日常生活に適度な運動を取り入れ、暴飲暴食を避け、ストレスを軽減する環境を整えましょう。


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監修

神奈川県立循環器呼吸器病センター副院長 循環器内科

福井和樹