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発作性頻拍症
ほっさせいひんぱくしょう

最終編集日:2026/4/17

概要

突然、脈が速くなり、しばらく続いた後に突然停止して通常の脈拍(洞調律)に戻る不整脈です。多くは、原因となる異常電気興奮が心房あるいは房室接合部で起こる「上室性頻拍症」ですが、心室で起こる「心室性頻拍症」も含まれます。

上室性頻拍症は、命にかかわることはほとんどありませんが、心室性頻拍症は、放置すると命にかかわることになる危険な不整脈です。心筋梗塞心不全といった心臓病をもっていると発症しやすく、電気ショック(電気的除細動)などの迅速な対応が必要となることもあります。

原因

心臓内の電気興奮が、一定の場所を持続的に旋回(リエントリー)することで起こります。原因となる電気の旋回路が、心房あるいは房室接合部にあるものを上室性頻拍症、心室にあるものを心室性頻拍症と呼びます。

発作性上室性頻拍症は、頻拍回路が先天的にあるWPW症候群と、後天的に回路が形成される房室結節リエントリー性頻拍、心房内リエントリー性頻拍があります。

心室性頻拍症は、心疾患が原因で電気回路が形成されることがあり、心筋症や心筋梗塞などの重い心臓病がある場合には、心室細動へと移行して突然死する可能性があります。

症状

●上室性頻拍症

規則正しく速い脈(1分間に140~220回の頻脈)が突然起こり、動悸、息切れ、トイレが近くなる、尿の量が多くなる、めまい、立ちくらみ、ふらつきが起こります。発作そのものがすぐ命にかかわることはありませんが、長時間持続すると心不全を生じます。


●心室性頻拍症

自覚症状がない場合もありますが、不整脈による動悸や息切れ、めまい、ふらつき、失神を起こすこともあります。

心筋梗塞などの重い病気が原因で起こるときは、心室細動に移行する可能性が高く、その場合は電気ショック(電気的除細動)といった迅速な対処が必須です。

検査・診断

上室性頻拍症も心室性頻拍症も基本的な検査は同じです

心電図、24時間ホルター心電図、電極カテーテルを使用した心臓電気生理検査が必要です。

ただし、疑う対象が上室性頻拍の場合は、動悸などの症状がある人ですが、心室性頻拍の場合では重い心臓病をもっている人を調べます。

治療

●上室性頻拍症

発作性上室性頻拍症と診断がついたら、カテーテルアブレーション(心臓に細い管を入れて、心筋の一部に高周波電流を流し、頻拍の原因となっている部分を焼く治療法)による根治が第一選択治療法になります。

頻拍を止めるために自分でできる対処としては、深呼吸をして息を止め、いきむ(バルサルバ法)方法などがあります。頻拍が治まらないときは、医師の治療が必要です。頻拍を停止させるには、抗不整脈薬(ベラパミル、ATP、ナトリウムチャネル遮断薬など)の静脈注射や電気ショックを行い、頻拍の予防はカテーテルアブレーションで行います。


●心室性頻拍症

頻拍の回数が少なく、血圧が下がるなどの悪影響がみられない場合でも、頻拍を停止させることが必要です。抗不整脈薬あるいは電気ショックによる停止が必要です。状況に応じて、カテーテルアブレーションや植込み型除細動器(不整脈を止め、心臓の働きを助ける機器)を検討する場合もあります。

セルフケア

予防

・ストレスが高まると発作が起こる、あるいは体位によって発作が起こるなど、動悸発作が起こるきっかけや原因がわかっている場合は、可能なかぎりそれを避けるようにしましょう。

・予防薬もあるため、発作が頻繁に起こる場合は主治医に相談しましょう。年に1回の発作のために予防薬を服用するのは現実的ではありません。カテーテルアブレーションを考慮することをおすすめします。

・定期健診は欠かさずに受けましょう。

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監修

神奈川県立循環器呼吸器病センター副院長 循環器内科

福井和樹