急性冠症候群きゅうせいかんしょうこうぐん
最終編集日:2026/1/28
概要
急性冠症候群は、冠動脈内にできたプラーク(脂肪のかたまり)が破裂してできた血栓が動脈をふさぎ(閉塞し)、心筋壊死を引き起こす過程の、一連の病的な状態を指します。急性心筋梗塞が中心の病態ですが、その一歩手前の状態も含まれます。緊急性がある病態で、迅速に診断し、速やかに治療に入ることが必要な疾患です。
狭心症との違いは、どちらも冠動脈の動脈硬化により生じますが、狭心症は一時的な血流の不足で元に戻る(可逆的)ため、休めば改善しますが、急性冠症候群は元に戻らず(不可逆的)、心筋に障害が残ります。
原因
冠動脈の動脈硬化が原因となり、血管をふさいでしまうため、動脈硬化の危険因子とされる肥満、脂質異常症、高血圧症、糖尿病、喫煙、加齢、心臓病の家族歴などが、急性冠症候群の発症リスクとされています。

症状
繰り返し生じる胸痛、圧迫感、息苦しさ、放散痛(あごや首、肩、うで、背中に痛みが拡散される)がみられます。狭心症では胸痛が15分以内に治まりますが、急性冠症候群では15分以上続くことが多いです。
急性心筋梗塞を発症している場合は、激痛に伴う嘔吐、冷や汗、低酸素血症、心原性ショック、心不全を起こすこともあります。
検査・診断
問診を行い、すぐに心電図、トロポニンやCPKといった心筋逸脱酵素を調べる血液検査、心臓超音波検査を行います。急性冠症候群が疑われれば、速やかに冠動脈造影検査を行います。
治療
冠動脈造影検査に続き、閉塞しかかっている冠動脈に対して、カテーテルインターベンション(風船で冠動脈をふくらますか、ステントを留置)を行います。病状によっては、新たに血流の通り道をつくる冠動脈バイパス手術などが選択されることもあります。
術後には薬物療法(抗血小板薬、スタチンなど)を継続します。再発しやすいといわれており、再発を防ぐにはLDLコレステロール(悪玉コレステロール)をできるだけ下げることが最も重要とされています。
セルフケア
病後
再発する可能性があるため、継続した経過観察が必要です。体調を良好に保つために、治療後は入院中から心臓リハビリテーションへの参加が推奨されています。
予防
動脈硬化の発症リスクを下げる生活習慣を心がけることが大切です。
・健康的な体重を維持する
・アルコールは適量にする
・禁煙
・健康的な食生活を送る
・定期的に運動をする
監修
神奈川県立循環器呼吸器病センター副院長 循環器内科
福井和樹