インターバル速歩をやってみよう!

最終編集日:2025/11/17

ウォーキングは手軽に取り組める健康法のひとつで、生活習慣病の予防・改善などに役立ちますが、残念ながら散歩程度ののんびり歩きでは体力の向上までは期待できません。ところが歩き方を変えると、ジムでのマシーンを用いたトレーニングに近い体力向上効果が得られる可能性があるといわれています。それが「インターバル速歩」というウォーキング法で、その効果は科学的に実証されています。さあ、明日からインターバル速歩を始めてみませんか。


●「早歩き」と「ゆっくり歩き」を交互に行うインターバル速歩

インターバル速歩は、「早歩き」と「ゆっくり歩き」を3分間ずつ交互に繰り返すものです。信州大学医学部の能勢 博特任教授が考案したウォーキング法で、日本のみならず、海外でも注目されています。その理由は、いつでもどこでも特別な器具などを使わずに手軽に行えるトレーニング法にもかかわらず、体力アップをはじめ、さまざまな効果が期待できることが報告されているからです。

これまで約1万人の中高年者を対象に5カ月間のインターバル速歩の効果を検証したところ、下肢の筋力、持久力(最高酸素摂取量)がそれぞれ約10%向上したことがわかっています。さらに、高血圧や高血糖、肥満などの改善、不眠や認知機能などの精神症状の改善、腰椎や大腿骨頭の骨密度の増加、関節痛の改善などもみられました。


●過度の息切れや筋肉痛を回避しつつ筋力アップが期待できる理想的な運動

なぜ、インターバル速歩を行うと筋力アップが期待できるのでしょうか。インターバル速歩の「早歩き」は「ややきつい」と感じる速度で行うのですが、これは自分の最大体力の70%程度の強度の運動を意味します。このとき、筋肉では糖が分解されてエネルギーがつくられ、乳酸という物質も産出されます。この乳酸ができるような強度の運動により、筋力アップの効果が期待できるのです。

なお、筋肉にたまった乳酸はエネルギーとして再利用されますが、このときに分泌される水素イオンによって息切れや筋肉痛が引き起こされます。ところが、インターバル速歩では、早歩き3分で適度に乳酸を産出し、ゆっくり歩き3分でたまった乳酸が代謝されるため、過度に息切れや筋肉痛を引き起こすことなく筋肉を鍛えることにつながります。


●「ややきつい」と感じる早歩きを「週合計60分」行う


<歩く前の準備>

・ストレッチを行って太もも、ふくらはぎ、アキレス腱などの筋肉をゆっくりと引き延ばしておく。終了後も同様にストレッチを行う。


<インターバル速歩の方法>

・「早歩きを3分間」と「ゆっくり歩きを3分間」を1セットとし、1日5セット、週4日行うことを目標にする。

(必ずしも「1日5セット、週4日」でなくてもよく、例えば5セットを朝晩行えば、週2日でもよい。早歩きを「週合計60分」行うのがポイント)

・早歩きのスピードは2分間程度歩いて「ややきつい」と感じる程度で行う。


<早歩きのときの姿勢とポイント>

・視線は約25m先を見て、背筋を伸ばして胸を張る。ひじを90度に曲げて腕を前後に大きく振る。

・できるだけ大股で踏み出し、かかとから着地する感覚で。慣れないうちは「1、2、3」と数えて脚を踏み出し、3歩目で大きく踏み出すようにする。 



インターバル速歩は続けることが重要です。まず2週間続けることから始めてみましょう。インターバル速歩を継続することで、体重、血圧、睡眠などの改善に効果が期待できます。

なお、心臓や肺の病気がある人をはじめ、持病があって通院している人は、かかりつけ医に相談してからインターバル速歩を行うようにしてください。


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監修

信州大学大学院 特任教授

能勢 博