大切な人との別れを乗り越える

最終編集日:2025/8/25

いつかは誰もが直面する、大切な人との別れ。パートナー、家族、友人、知人…その時は、思いがけず突然やってくることもあれば、静かに訪れることもあるでしょう。

失った現実を前にしたとき、私たちの心は深い衝撃を受けます。もう会えないという事実、埋まらない寂しさ、心に広がる虚無感…。そのつらさの中にいると、「この悲しみが永遠に続くのではないか」と感じてしまうこともあるかもしれませんが、残された私たちの時間は、なおも流れていきます。

悲しみを抱えたままでも、今日を生き、明日を迎えていかなければならない…そのような日々をどう過ごせばよいのでしょうか。

悲しみに向き合うためのヒントをご紹介します。


●「悲哀の段階」とは

大切な人をなくしたとき、否認、怒り、取引、抑うつ、受容という「悲哀の段階」をたどるという考え方があります。

現状を認めたくないという「否認」、なぜ自分がこのようなつらい思いをするのかという「怒り」、何でもするから助けてほしいという「取引」、現実を受け入れ失意や強い悲しみを感じる「抑うつ」、徐々に穏やかな感情が生まれ事実に折り合いをつけて立ち直っていく「受容」というプロセスです。

これらの段階は、直線的に進むものではなく、行きつ戻りつしながら、少しずつ心が整理されていきます。

なくした人との関係性や、その人との思い出の深さによって、悲しみの形や癒えるスピードはそれぞれです。自分のペースで、無理なく過ごしていくことが何より大切です。


●つらいときの過ごしかたのヒント

心が疲れていて何も手につかないときは、「がんばろう」とする必要はありません。わきあがる感情を無理に押さえ込まず、信頼できる人に話したり、ノートに書き出したりしてみましょう。言葉にすることで、自分の気持ちを整理する一歩につながります。

手続きや片づけなど、やらなくてはいけないことに追われている期間が過ぎたあと、心身の疲れがどっとあらわれることもあります。だるさ、無気力、食欲の低下など、からだのサインを感じたらそのままにせず、自分を労ってあげてください。

また、つらさを抱え続けるのが苦しいと感じたときは、メンタルクリニックやカウンセラーなど、専門家の力を借りることもひとつの選択です。適切なサポートを受けることで、少しずつ回復のきっかけがみえてくることもあります。


大切な人を失ったあとの人生を立て直すには、それなりの時間が必要です。

焦らずに、少しずつ日常を取り戻していきましょう。



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監修

みんなの家庭の医学メディカルチーム